中世東国の地域社会と歴史資料
型番 793
定価 9,350円(税850円)
販売価格 9,350円(税850円)
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中世東国の地域社会と歴史資料
A5判・440頁
ISBN978-4-626-01720-8
定価(8500円+税)

岡田清一【著者】東北福祉大学教授・博士(文学)

【主要著書】『中世相馬氏の基礎的研究』『鎌倉の豪族2』『相馬藩世紀』第一・第二『鎌倉幕府と東国』『河越氏の研究』(編者)『中世日本の地域的諸相』(共著)


 近年の中世史研究においては、「地域からの視座」と「歴史資料論」の二つの流れがあり、「地域からの視座」では、「地方史」から「地域史」への観念の強まりであり、歴史研究の分野においては「中央」を視野に組み込み、「地域」問交流へと研究の広がりをみた。また、「歴史資料論」においては、1960年代以降に自治体史の編纂が盛行し、諸歴史資料の整理が進むとともに、同時期に各地で行われた多くの発掘調査による考古学上の成果が地域の歴史の再認識を促し、歴史学と周辺諸科学、たとえば歴史地理学や人類学、民族学・民俗学、社会学、言語学、心理学等との学際的な交流へと向かい、そして文献吏料そのものの批判的研究へと広がりをみた。
 本書は、近年の中世史研究の流れをふまえ、地域からの視点、多様な歴史資料の活用と文献史料の批判的利用との二つの視座・視点に対する論考をまとめる。考古学の成果、金石文資料、地名や地図、伝承、系図、群としての古文書等の歴史資料を活用する具体例を論究し、それぞれの地域社会像を素描する。なお、収録論考の中で数編を除き、共通するキーワードは、「相馬」に関する諸地域の社会像の解明をめざし、空間軸を意識して論述する。



【収録内容】

まえがき 中世史研究の潮流と陥穽
1地域からの視座
2歴史資料論からの視座
3平泉の陥穽
4本書の構成と内容

第一章 宇多郡の鉄
第1節 製鉄遺跡と技術の招来
第2節 中世〜近世の製鉄・鉄需給事情
第3節 宇多郡をめぐる諸氏の抗争
おわりに

第二章 地域史研究と金石文資料
はじめに
第1節 房総三国の板碑残存状況
第2節 相馬郡の板碑残存状況
むすびにかえて
補論1 鎌倉・南北朝期の相馬郡

第三章 中世村落の景観復元
はじめに
第1節 明治初期の景観
第2節 江戸時代後期の景観
第3節 戦国期の景観
おわりに
補論2 置賜郡小松の中世的景観

第四章 村と市と在家 地城の復元
第1節 「中世都市」陸奥府中
第2節 奥大
第3節 海の道・川の道
第4節 宿・市・在家
第5節 荒野の開発
第6節 板碑の世界

第五章 葛西御厨小考
はじめに
第1節 御厨の成立
第2節 御厨の領主
第3節 御厨の内部構成
むすびにかえて
補論3 大河戸御厨をめぐる二、三の問題

第六章 将門伝承の成立と展開
問題の視点
第1節 伝承の成立
第2節 伝承の展開(一)『信太』の成立
第3節 伝承の展開(二)『師門物語』と『森館軍記』
むすびにかえて
補論4 山形県西川町大井沢の将門伝承

第七章 武家系図成立に関する一考察 相馬系図諸本の異同を中心として
はじめに
第1節 総州相馬氏系図の諸本
第2節 奥州相馬氏系図の諸本
第3節 両相馬氏系図の諸本
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